防災ソリューションID : JBP00119

株式会社 地層科学研究所

衛星SAR情報の活用 -衛星SARにより得られた地表面変形より地中の状態を推定-

有限要素法を用いた逆解析による地中の変形の推定

ソリューションの特長

SAR(合成開口レーダ)を搭載した衛星により得られる測距データを活用し、地表面変形の計測が可能です。さらに、逆解析技術を組み合わせ、地表面変形の原因となっている地下のひずみ状態を推定します。地すべりや盛土の変形、地表沈下の分析などに役立ちます。

ソリューションの図解

衛星SARを使って、地表面の変形を調べる方法が干渉SAR解析です。衛星が同じ軌道を2回とおり、それぞれで地表から反射する電波の位相を計測すると、地表面が例えば隆起している場合には、衛星との距離が変化し位相差が発生します。この位相差から地表面の変形量を求めます。
得られた地表面の変形を解析モデルの上面の変形と見なし、モデル内部のひずみ分布の変化や剛性低下領域などを、逆解析により推定します。


出典:国土地理院ウェブサイト「干渉SAR・SAR干渉画像とは」の位相解説図を加工して作成(https://www.gsi.go.jp/uchusokuchi/sar_mechanism.html)

ソリューションの背景

衛星SARでは、地表面の変形を検出することができますが、その原因を推定するためには、変形を引き起こした地中のひずみ分布を知ることが必要となります。これを、カルマンフィルタを用いた3次元有限要素法による逆解析で実現しました。

ソリューションの詳解

地表面の変形が得られた場合は、有限要素法による逆解析ソフトウェアGeo-Inverse(地層科学研究所開発)により、地下で生じた物性変化やひずみ変化を調べることができます。
図1に示すモデルを用いて、逆解析の性能を調べてみます。モデル内部に体積の収縮を生じた領域を仮定します(図中赤)。その下の図が、この収縮ひずみで生じた地表面の変形です。
これを、衛星SARによる計測で求められた地表面変形と見なします。この変形を既知、ひずみ変化が生じた領域とその大きさを未知として、逆解析を行います。
図2から図3が、逆解析の結果得られた収縮領域です。また、図4は計測結果と同定結果の比較で、傾き1上の直線に乗っていることから、同定結果は計測結果を精度良く再現していることがわかります。   


左:図1  山体のモデルと収縮領域(赤色)
右:図2  逆解析により得られた地表面変位コンター(赤:大)

左:図3  逆解析により得られた収縮量コンター(赤:大)
右:図4  設定した計測値と逆解析により得られた値の相関


 

ソリューションの実績や適用例

企業情報

株式会社 地層科学研究所

〒242-0017 神奈川県大和市大和東3-1-6 JMビル4F

Tel. : 046-200-2281

E-mail : chisoukengeolab.jp

Website : https://www.geolab.jp/

TOP