防災ソリューションID : JBP00005

株式会社 技研製作所

インプラント拘束地盤免震

構造物の基礎地盤を拘束する液状化対策

ソリューションの特長

拘束地盤免震は、建築・土木を問わず最も効果のある液状化対策の一つです。免震技術の多くは地上構造物、つまり建築物に適用しており、既存の建物に導入する場合は莫大な費用と膨大な工期が必要です。一方、インプラント工法®を駆使した拘束地盤免震は、鋼矢板壁によって基礎地盤を拘束し、地盤全体で地震動の衝撃を緩和する技術です。施工に際しては広い作業用地や仮設足場などは不要で、既存施設の撤去なども最小限に抑えられるため、費用対効果に優れる液状化対策となっています。

ソリューションの図解


鋼矢板壁を用いる拘束地盤免震には、地震に対する主に5つの被害抑止効果があります。

  1. 局所すべりの抑止: 地盤が揺すられ液状化したとしても、構造物の重量による局所滑りは発生しません。
  2. 地盤の変形抑制: 鋼矢板壁で囲っていることによって、地盤の変形をその内側だけに抑制します。
  3. 地盤の側方流動の拘束: 土粒子が液状化しても、鋼矢板壁で囲われた外部へは移動することがありません。
  4. 過剰間隙水圧伝播の遮断: 囲われた鋼矢板壁によって、その内から外へ、また外から内への間隙水の伝播を遮断します。
  5. 不等沈下の抑制: 液状化によって地盤が緩んでも、構造物の上載圧を鋼矢板壁で囲った地盤全体で受け、不等沈下を抑制します。

ソリューションの背景

地震で生じる液状化現象
地震によって地盤が激しく揺すられると、地下水位の高い砂地盤などにおいて間隙水圧が高まり、土粒子の結び付きが緩んで液体のようになる、液状化現象が生じます。

液状化による被害
地震に伴う液状化現象は、世界各地で被害を発生させています。地盤が一旦液状化すると、上部の重量物が支えられなくなり、建物の倒壊や沈下を引き起こします。表面の地盤にも、沈下やひび割れが生じ、そこから地中の水が噴出します。それによって、ライフラインなど地中の埋設物も損壊し、人工島に建設した港や湾岸地帯のコンビナートなども被害を受けます。

被災地で発見された解決策
この液状化を抑止する解決策は、実は被災地で発見されました。ある大学教授が、地震被害の調査のためにある被災現場へと足を踏み入れると、損壊・倒壊した家々の中に、一軒だけ無傷の民家がありました。その原因を調べると、建設時に施工した鋼矢板壁をたまたま引き抜かずに残置していたのです。意識していなくても、拘束地盤免震の効果がその家を地震の被害から救っていたのです。

ソリューションの詳解

インプラント構造®(基本原理)
インプラント構造は、躯体部と基礎部が一体となった許容構造部材を地盤に挿し込み、地球にしっかりと支えてもらう構造です。許容構造部材の「大きさ」と「地盤への貫入深さ」で水平荷重や鉛直荷重を受け止める構造で、許容構造部材の一本一本が地球に支えられ集合体として高い耐力を発揮します。そのため、地震動による地盤変位や津波などの外力に対して、崩壊せずその場に耐え留まる"粘り強い"防災インフラとして機能します。

拘束地盤免震(防災適用例)
免震と言っても、上載構造物と地盤の間に何らかの装置をかませ、上下の縁を切る免震(アイソレーション)技術ではありません。建物をいくら耐震化しても、地盤が崩壊すれば全てが崩れ去ります。そのため、建物の基礎地盤を鋼矢板壁で囲い込み、拘束した地盤全体で地震動を衝撃を緩和し、液状化による地盤の沈下と流動を抑制して、上載構造物を地震被害から守る技術です。主要な5つの防災機能は、先に図解した通りです。

インプラント工法(建設技術)
鋼矢板壁の構築は、施工済みの杭を複数本つかんで反力とし、次の杭に油圧力を加えて地中に押し込んでいく「圧入工法」で行います。そのための「圧入機」や「周辺システム機器」は、既設杭の天端を作業軌道として工事を進めるので、傾斜地でも水上でも、建物に近接した狭い場所でも、仮設工事は不要です。つまり、環境性、安全性、急速性、経済性、文化性で構成される「建設の五大原則」を、高次元かつバランスよく遵守している建設工法(インプラント工法)なのです。

ソリューションの実績や適用例

さまざまな構造物への適用
拘束地盤免震は、土木構造物でも建築物でも、それが地盤に接してさえおれば適用できます。従って、道路や鉄道などの盛土の耐震補強や、橋梁の橋脚基礎の耐震補強、緊急時用の地下貯水タンクや、コンビナートの石油貯蔵タンクなどで採用実績があります。石油タンクでは円筒形に鋼矢板壁を施工するため、特に「鋼矢板リング工法」という名前で普及しています。また、インプラント堤防®の二重鋼矢板壁も、拘束地盤免震の効果を応用しています。

東日本大震災による効果の実証
東日本大震災の発生を受け、技研製作所のエンジニアたちは拘束地盤免震を施した箇所のある被災地へ向かい、実態調査を行いました。すると、効果の違いは如実に表れており、拘束地盤免震を行った地下埋設物や土木構造物は全く無事だったのに対し、何の策も施していない箇所は、沈下やひび割れ、破損や浮き上がりなどの被害が発生していました。

南海トラフ巨大地震に向けた対策
史上最悪のシナリオが想定されている南海トラフ巨大地震では、東日本大震災の轍は踏むまいと、高知県を中心とする被災想定地域で、拘束地盤免震の原理を応用したインプラント堤防などの整備が進んでいます。インプラント工法を用いれば、費用対効果の大きな地震災害対策が可能です。

企業情報

株式会社 技研製作所

〒135-0063 東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階

Tel. :  

E-mail : internationalgiken.com

Website : https://www.giken.com/ja/

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