防災ソリューションID : JBP00004

株式会社 技研製作所

インプラント地すべり抑止

高い強靭性を持つ抑止杭の急速施工

ソリューションの特長

世界各地で頻発する記録的な集中豪雨や強い地震動などが引起こす地すべりを、強靭なインプラント構造®による抑止杭と土留め壁によって事前に防止します。安定地盤まで根入れした杭を間隔を空けて設置することで、降雨で急激に増加する地下水を通しながら、連続壁によって土塊の移動で発生する地すべりを防ぐ仕組みです。設置に関しては、杭の上を自走する圧入システム機器により、住民生活や周辺環境への負荷を最小限に抑えながら、予期できない災害発生に備えた急速施工を実現しています。

ソリューションの図解

地すべりの抑止
適切な間隔を空けて設置するインプラント構造による抑止杭は、土塊の勢いを止めつつ過剰な地下水は効率よく下方へ流し、鋼矢板連続壁によって土砂の崩壊を抑えます。施工済みの杭の天端を作業軌道とする圧入システム機器により、杭の設置は住民生活や周辺環境に負荷を与えることなく行えます。

効果的な抑止壁の設計
強靭なインプラント抑止壁は、杭径500~2500㎜までの鋼管杭で適切な杭間を設け、そこに連続する鋼矢板壁を組合わせることで、巨大地震や集中豪雨で引き起こされる地すべりを効果的に防ぎます。

仮設不要の急速施工
インプラント抑止壁は、傾斜地であろうと住宅に近接していようと、仮設構台や地下工事無しで、杭材を地上から直接地中に押し込むことで構築します。地下障害物があっても、高度な貫入技術で克服し、災害対策に最も重要な急速施工を実現しています。

持続可能な防災インフラ
インプラント構造物の重要なコンセプトに「機能構造物®」があります。これはインフラ構造物の設計・建設・供用・維持・発展・撤去・再利用までのライフサイクルを想定し、防災インフラなら防災機能等の享受を主眼として、構造物そのものは時代の変化に合わせて柔軟に対応させていくという技術思想です。

 

ソリューションの背景

頻発する自然災害
日本はその地理的・地形的・気象的諸条件から、台風・集中豪雨・斜面崩壊・地震・火山噴火など、数多くの自然災害に見舞われてきました。そのような災害によって、膨大な数の人命と財産が、毎年のように失われてきたのです。そこで日本政府は、被災した教訓を一つ一つ防災力の強化へとつなげるため、数々の災害対策法案を制定してきました。地滑り災害に関連する主な法律だけでも、砂防法(1897年)、 地すべり等防止法(1958年)、災害対策基本法(1961年)、急傾斜地崩壊防止法(1969年)、活動火山対策特別措置法(1973年)、土砂災害防止法(土砂災害警戒区域)(2000年)などが挙げられます。

環境配慮型「圧入工法」の誕生
地すべり対策として抑止杭や抑止壁が有効なことは分かっていますが、足場の悪い傾斜地や居住区の狭い場所などでは、従来の大型建設重機は役に立ちません。そこで技研製作所は、既に施工済みの杭を数本つかみ、その天端を作業軌道として油圧力で杭を地中に押し込んでいく「圧入機」(製品名:サイレントパイラー)を1975年に発明しました。そうして誕生した環境配慮型「圧入工法」に磨きを掛けながら、地滑り対策に必要なシステム機器も充実させ、施工環境や地盤条件を問わず、周辺環境に影響を与えることなく抑止杭・抑止壁を構築できる「インプラント工法」を完成させたのです。

ソリューションの詳解

インプラント構造(基本原理)
インプラント構造は、躯体部と基礎部が一体となった許容構造部材を地盤に挿し込み、地球にしっかりと支えてもらう構造です。許容構造部材の「大きさ」と「地盤への貫入深さ」で水平荷重や鉛直荷重を受け止める構造で、許容構造部材の一本一本が地球に支えられ集合体として高い耐力を発揮します。そのため、地震動による地盤変位や土塊の移動などの外力を受け止め、崩壊せずその場に耐え留まる"粘り強い"防災インフラとして機能します。

事前予防の「ガード工法®」(防災適用例)
インプラント構造の優位性を適用した抑止杭や抑止壁は、土砂災害などの発生前に構築しておき、事前に被害を抑止する「ガード工法」という技術分類(圧入技術体系)に属します。仮に同じ金額の工事費を費やすとしても、それが発災前か発災後かで、被害額の大きさに歴然とした差が生じます。正に「予防に勝る治療無し」です。

緊急措置の「レスキュー工法®」(防災適用例)
そうは言っても、全ての災害を予見し、事前に対策を施せるわけではありません。その場合、発災後の人的被害や経済的損失を少しでも抑えるため、事後対策となるものの緊急措置を施す「レスキュー工法」(圧入技術体系の分類)を発動します。レスキュー部隊のように、直接的に瓦礫から人命を救い出す意味のレスキューではなく、被害の拡大阻止や二次災害の防止、機能不全となったインフラの緊急復旧などを意味します。インプラント構造の特長として、緊急施工した抑止壁などは、時間をかけた復興計画の中で容易に撤去・移設などが可能です(機能構造物としての特長)。

ソリューションの実績や適用例

技研製作所は、1975年に圧入機を発明して以降、420社以上のサイレントパイラー・ユーザーを育て、世界36箇国以上でインフラの発展や防災に貢献してきました。河川、港湾、道路、鉄道、橋梁、防災インフラなど、あらゆる分野の案件でインプラント構造物を構築していますが、ここでは火山の島として知られる伊豆大島でのレスキュー工法案件を紹介します。

東京都大島町での導流壁(導流堤)の緊急施工
2013年10月、台風26号の直撃を受けた伊豆大島では過去最大の降雨量を記録し、火山地帯である大金沢地区で大規模な斜面崩壊と泥流が発生して、35名以上の死者を出す大災害へと発展しました。溶岩の上に堆積した火山灰を主体とする表層土が崩壊し、山の木々ごと押し流していったのです。東京都は緊急対策を講じ、その一環として、インプラント工法による導流壁(導流堤)が構築されました。溶岩で形成された地盤は固く、「クラッシュパイラー®」という硬質地盤専用機を用いた圧入工事となりました。

その他の参考資料

技研製作所:技術紹介パンフレット イメージビデオ:インプラント地すべり緊急対応(レスキュー工法)

企業情報

株式会社 技研製作所

〒135-0063 東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階

Tel. :  

E-mail : internationalgiken.com

Website : https://www.giken.com/ja/

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